これは和室の所作の基本中の基本です。
常在戦場、つねに戦いに備えておくことが必要だった武家社会では、床に潜んでいる敵に襲われるということがありました。
畳はヘリの部分で合わさっていますから、そこを踏んでいると、突き抜けてきた刀の切っ先で痛手を負う、ということがあったのです。
これが時代背景とした、ヘリを踏まない合理的な理由。
もうひとつは文化的な理由です。
畳が貴族の間で使われるようになったのは平安時代ですが、当時は大変な高級品でした。
ヘリに藍染めなどで染色された絹や麻が用いられていたのです。
植物で染めた布は入りが落ちやすかったうえ、とくに麻は耐久性が低く擦り切れやすかったため、ヘリを踏むことは御法度とされていたのです。
もっとも重要なのは、ヘリは格式をあらわすものだったという点です。
もっとも格式が高かったのは「繧繝縁」と呼ばれるもの。
これを使うことが許されたのは天皇、皇后、上皇といったごく限られた高貴な人達だけでした。また、格式そのものをあしらったヘリもあったそうです。
そのヘリを踏むことは、文字どおり、格式を踏みにじることです。
こうして畳は静かに歩き、決してヘリは踏まない、という文化が定着しました。
でもご安心してください。
ブレインの和室はすべて琉球畳(ヘリ無し)ですので(笑)。
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