第4話 トップマネジメント
追っかけてくる仕事量は、自分がこなせる仕事量をはるかに超えている。
経営は人に喜びをもたらす行い、経営者は人に喜びをもたらす人。
経営者にふさわしい人とは、自分を成長させられる能力を持った人。
どういう人をトップマネジメントと言えるのか?
トップマネジメントとは会社の未来をつくる人。自分の強みを会社の貢献に変えることができる人。
タイムマネジメントとは、多くの仕事をこなすことではなく、やらない仕事を決めること。大切なことをじっくり考えることができる時間を確保すること。
仕事で成果を上げられるのは、集中している時だけ。時間の使い方は能力ではない。どれだけ効率よくこなすかでもない。
仕事を全てリストアップしていただきたい。次にリストアップした仕事一つひとつにどのくらいの時間がかかるか、5分なら5分、30分なら30分と書いていく。
人間の能力というものは、いろいろあって誰しもオールマイティというわけではなく、それぞれ得意とするものを持っている。
だから社長は社長で、その得意とするものに全力を挙げてもらって、あとのことは心配をかけないように、みんなで負担する。(ホンダの元副社長藤沢武夫)
ホンダは、本田宗一郎あっての魅力であり、藤沢武夫あっての組織だった。
社長一人でトップマネジメントの仕事を全て抱え込まないこと。
複数の人間が力を合わせて仕事をするからには、何らかのルールが必要だ。
ここでいうルールとは仕事に制限を加えるものではなく、仕事を自在にするためのもの。
言い換えれば個々の総和を超えるものを生み出す文化をつくるということ。
お家騒動 起こっていることは違うように見えても、それらを起こしているものは同じ。
意思決定には、意見の不一致が必要。この決定がどんな結果をもたらすかということについての理解を深めるために、意見の不一致を生み出す。重要なことを
決めるときは、あとになって予想外の問題に遭遇しないために、意見の不一致は必要。
どんな組織も、私の立場であれば私が正しい、あなたの立場であればあなたが正しい。誰も間違ったことは言っていない。多かれ少なかれ、それが組織の現実。意見が食い違うのはいいが、いつまでも意見が定まらないのは問題。人間は理論と感情の両方で自ら動く。
人と人を結ぶのは、誠実な話し合いしかない。
時間はかかるが、意見の不一致を当然のこととする1枚岩の経営チームが構築される。労苦は伴うが、事業の停滞を招くよりはマシ。
トップマネジメントの仕事は、全力で動くことではなく、適切に動くこと。大事なことはどれだけ労力を費やしたかではなく、どんな成果を出せたか。
生み出す成果を明らかにすること。それが明確であればあるほど、命中率は高くなる。生み出す結果とは、噛み砕いて言えば、客観的に考え抜いた上で一番重要なこと。
経営チームの能力を高める3つのこと
1. 5年後にも繁栄し続けるためにどんなことに取り組んでおく必要があるかについて、考え抜き、そのことについて決めておくこと。
2. 人事について詳細を把握する。誰が成果をあげているかだけではなく、誰が強みを行かせているか、いないかを掴んでおくこと。
3. 思ってもいなかった変化を把握すること。
大企業の経営チームは、決定すること、執行すること、監視することが仕事。
中小企業には、マネジメントの経験が豊富な人がいないため、自分たちの悪い点を正す手が打たれない。
中小の同族企業は、経営チームに同意してくれる者ではなく、経営チームとは違った視点で反対してくれる人が必要である。
リーダーシップなくしては、生産資源は資源にとどまり、生産はされない。
経営者はスケジュールを80時間以上入れないようにする。
重要なことを決めるときは満場一致ではなく意見の不一致が必要。